相模原市での事件を受けて・・・

相模原市「津久井やまゆり園」の事件を受けて
NPO法人おおぞら 理事長 秦 靖枝

2016年7月26日の朝、「津久井やまゆり園」に入所中の重度の知的障害者19人が殺害され、26人が重軽傷を負われたとのニュースを知り、深い、深い悲しみに襲われました。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りいたしますと同時に、傷つかれた方々が一日も早く回復されるように祈っております。
被害に遭われた方々、関係者の方々がどれほど悔しく、つらい思いをされたかと思い、言葉に表せない憤りを感じずにはいられません。重度の知的障害の方は、自分の感情を表現するのに困難を抱えている方が多いのは確かです。しかしそれは決して「何もわからず、何も感じない」ということではありません。それどころか、鋭い観察眼を持ち、豊かな感性をもって周りの人々や出来事を受け止めて暮らしている方が多いのです。
「NPO法人おおぞら」は1999年から障がい者の「意思決定支援」と「本人の権利擁護」を活動の軸として掲げ、「障害のある人たちが、住み慣れた地域で普通に暮らすこと」を目指して活動を続けてきました。
3~4人が家族のように暮らすグループホームと、ひとり暮らしへ向けたサテライト型住居、就労へ向けての訓練を行う就労支援事業所、本人の気持ちに寄り沿い一緒に問題解決を考える相談支援事業所を運営しながら、一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、障害のある方々に生き生きと暮らしてもらいたいと考えています。
グループホームの開設に際しては、地域住民からの反対運動もありました。説明会や交流を重ね、直接かかわりを持っていただくことで、誤解や偏見は解けていきました。障害のある人もない人も、共にその人らしく、幸せに暮らせる地域社会であってこそ、すべての人が「日本国憲法」に明記された「基本的人権」を享受できる社会だと思います。「障がい者だから人権が守られなくてもよい」と考える社会になれば、必ず一般市民の人権も踏みにじられることになるでしょう。
「NPO法人おおぞら」とともに活動を進めてきた、障害のあるAさん、Bさん、Cさん・・・。その一人ひとりは私たちにとってかけがえのない大切な仲間です。障がいの有無にかかわらず、多くの命が奪われるという、このような悲劇が二度と繰り返されないことを願ってやみません。
私たちは、障害のある方々の暮らし難さを埋める支援を続け、誰もが安心して暮らせる地域社会をつくる活動を進めてまいります。今後ともご本人、ご家族や支援者の皆さま、地域住民の皆さまのご理解とご協力をよろしくお願い致します。

2016年7月29日